40代の男性。嗅覚障害と味覚障害でのご相談でした。
当初はかぜのあとの嗅覚障害、感冒性嗅覚障害から始まったとのこと。
耳鼻科で治療を受けて、嗅覚は半分くらい回復したような感覚だが、食べ物の味がわからない。
耳鼻科の治療開始から3ヶ月ほど経ったところで症状に変化がなく、漢方での治療の可能性を求めて、ご相談にいらっしゃいました。
耳鼻科では漢方薬も処方されていたが、効果がみられないとのことでした。
望診し、やや気の上衝傾向があるように感じました。当初は気の上衝+やや水の停滞があると判断して漢方薬を提案して経過をみていただきました。
2ヶ月ほどの間に、味覚が少し良くなり、いくつかの食品で味がわかるものが出てきたとのことで喜ばれていましたが、こちらとしては今ひとつ改善が遅いのではないかなと感じていました。
糸練功にて知覚神経の異常と思われるところに絞り込んで適方を更に検討していくと、気の上衝はハッキリと感じられるが、水の停滞はほぼ関係がなさそうに思われたため、方針を変更して気の上衝の治療に絞って漢方薬をシンプルにしました。
翌月には白いご飯の味もわかるようになったとのことで、とても順調な経過でした。
以後、同じ漢方薬を中心に治療を進めて、嗅覚も味覚も全く問題ない状態になり漢方を終了しました。
半年ほどコツコツ漢方薬を飲んでいただきましたが、この方の他にも同様の方法で味覚障害が改善した事例がいくつかあります。
味覚障害は、かなり前から亜鉛の不足と言われています。しかし、亜鉛を飲んでいても改善しない方が相談にこられます。そういった方々の状態を調べてみると、いずれも「気の上衝」に対する漢方治療を検討していった結果改善しています。
気の上衝とは、身体上部に向かうエネルギーがうまく発散されずに、上部にエネルギーがやや過剰になるようなイメージです。漢方薬では、上部の気の発散に働くものがいくつもあり、これらの漢方薬はいずれも神経症状と思われるものに対して歴史的によく使われてきたものです。
こうした治療経験から考えると、亜鉛の摂取で改善がみられれない味覚障害の中には、知覚神経の異常があるのではないかと考えています。
まだまだ研究したい分野のひとつです。
- 症状や体質には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。