50代の女性。
不安障害の診断で投薬を受けている。ストレスから食べ過ぎてしまうとのことでした。
食べ過ぎて体重コントロールができないことから、腰痛も悪化してしまい、その痛みもストレスとなり、わかっていても食べてしまう。
これはなかなか難しい問題と思いました。札幌市内の別の漢方薬局さんでご相談をして、いくつかの漢方薬を試されたようですが、なかなか思ったようにいかないことや、処方を変えるたびに便通がわるくなったり、体調が悪くなったりということがあり、困っていろいろと調べてご相談に来られました。
腰痛もなかなか状態が良くないようで、こちらもなんとかしたいと思いました。
過食については、ご本人はストレスと思っていらっしゃるようでしたが、婦人科系ご病気の既往症が多いこともあり、これはホルモンバランスの影響が大きいと思いました。
総合して、全身状態を糸練功でチェックすると、過食を起こすホルモンバランスの乱れによく使う漢方薬が適する部分が明らかに感じられました。
腰痛については、女性ホルモンの減少とともに骨代謝も低下するため、組織の再生を促しながら痛みを取ることが重要なタイプと思われました。
どっちも治療したいところですが、一度に治療を並行すると1日分の漢方薬がそれなりに高くなると思われるので、優先順位をつけてはどうかとご提案してみましたが、ご本人の希望により、短期間で両方をやってみることにしました。
期間が短いため、さすがに症状の変化はありませんでしたが、便通なども悪くなく、漢方薬による不都合なところはないようでした。そして、2回目のご相談では「過食の方を優先したい」とのことで、初回に調べたホルモンバランスの乱れの部分をもう一度よく検討してみました。
実は初対面のときに、「おそらくこの方の見た目からは、ある特定の漢方薬が適する過敏の体質があるだろう」と思ったのですが、よく見るとそれがホルモンバランスの異常と思われる部分と重なっているように見えました。
糸練功で腹証を調べると、下腹部にある「血塊下焦」の反応にはホルモンバランスの漢方薬が対応し、へそ右上にある「気塊」には過敏な体質に用いる漢方薬が対応しており、この2つの合方をベースに方針を再検討して漢方薬を組み直しました。ホルモンバランスの漢方+過敏の漢方です。
ご本人の希望によりまた短期間で経過をみてみました。
すると、今度は短期間でもはっきりと過食が抑えられていることが自覚できたとのことです。食べようとしても、今までペロリと食べていた量の1/3くらいでいらなくなるとのことでした。そして、2週間弱で1kg減量できたとのことでした。
経過と改善状態を糸練功でチェックしてみると、短期間でも改善の勢いが確認でき、前回の漢方薬の組み合わせがとてもきれいに対応しているとみられました。分量のバランスまで微調整をして治療を継続しています。
お話を伺ってみて、精神的な症状があっても、単純にそれによる過食だとは思えませんでした。女性の場合はホルモンバランスの乱れによって、不安感などの多くの精神神経症状を起こしますし、過食もそのひとつとして現れることがあります。
また、既往症に子宮卵巣の病気が多かったことも考えるヒントになりました。
漢方では、四診といって「望診・聞診・問診・切診」があります。望診は目で患者さんの様子をみて推察することです。これは難しいのですが、長年の経験から「あっ、このタイプではないか」と思うことが度々あります。
それは顔つきであったり、お話の仕方であったり、お化粧の仕方であったり、動作の特徴であったり、実に様々です。
今回は望診で捉えた特徴がうまく漢方治療に反映できたことで、短期間でも大きく効果を発揮する結果となりました。まだ治療中ですが、順調に行くことを願っています。
- 症状や体質には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。